君想歌

血で赤く汚れた手に小さく
声を吉田は漏らした。


汚れてなかったら、きっと。


吉田の手の平は和泉の髪を
くしゃっと撫でていただろう。

「でりゃぁぁあ!!
高杉様のお通りだぜぇぇえ!!」


「目立ちます!!」


残念、と言いた気な表情。


その和泉の肩が驚いたように
跳ね上がる。


吉田の方に咄嗟に寄った和泉は
辺りを見回す。


同時に吉田は呆れたように
額を押さえた。


「あぁ……。頭が痛いよ」


長州側に狙われる人物が一人。

そして騒ぎを察した馬鹿な牛。
加えてもう一人の標的。


暗殺するべき対象が目の前に
二人も揃う。

なんとも向こう側には好都合な
状況であるか。


とすれば。

幾ら戦力が増えたって吉田側が
不都合な事には変わり無い。


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