君想歌

半刻前。


忘れ物した、と屯所に戻りすぐ
山野の部屋を和泉は訪れる。


「俺も行きます。
和泉さん一人じゃ危ないです」

「ありがとう」

玄関まで行くのが面倒で
近くにあった草履を履き
またあの場所に逆戻り。


夕餉に間に合わないのは
仕方が無い。



「あったあった」

「髪紐ですか?」

しゃがんで草を掻き分け和泉は
お目当ての物を探しだす。


「そう。付き合わせてごめん」


無くさないように手首に巻くと
土手を上がる。


だがどうせ間に合わない夕餉。

「甘味でも買って総司に渡そっか」

「良いですね」


和泉の提案に沖田が好きな
甘味屋へと足を向けた。


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