君想歌

装飾は少ない。


控えめな兎の飾りが柄の部分に
つけられている位だ。


「良いの?」

まじまじと見つめて吉田を
見上げた。

「うん。和泉が持ってて」


和泉が聞き返せば吉田は頷く。


吉田のお願いならば
それを断る理由は無い。


着流しの帯を巻くと
落とさないように間に挟む。


「帰るよ」


和泉の仕度が済むのを待ち
二人で部屋を出る。

襖にもたれていた吉田の後を
着いていく。


昨日借りていた着物を明里に
返してくれるよう女将に頼む。


遅くまで仕事をしている明里を
起こすのは流石に悪い。


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