君想歌

ぐっすりと自分の身体の上で
寝ている和泉の肩を軽く揺する。


「起きて、和泉」


吉田の声に眉を寄せた和泉は
目を覚ます。


「そろそろ帰らないと」


吉田の言葉に外を見れば、
だいぶ日が高くなりつつある。

身体を起こすと帰り支度を
始める。


吉田は涙を滲ませながら
大きく欠伸をする。


「んー。よく寝た」

「夜寝れない」

二人で話しながら仕度を
進めていく。


部屋の入り口に置いてあった
着物に袖を通す。

聞いた話によると会合には
悠も吉田と来ていたらしい。


丁寧に畳まれた着物は悠が
置いてくれたと思って良い。


和泉が着替える間に吉田は
刀の横に並べていた懐刀が
目に入った。

吉田は刀とは別に持っていた
懐刀を手に少し考える。


「和泉、これあげる」


まだ髪を結んでいない吉田は
和泉の手に懐刀を乗せる。


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