君想歌

格子窓から吹き込む風で
部屋の中が涼しくなる。


「恋って何か知れたから。十分」

吉田を見て微笑む和泉は
風に煽られた髪を押さえた。


「じゃ、ずっと俺の事。
覚えていてくれるの?」


吉田は無邪気に笑った。


無言で抱き付いてきた和泉に
吉田は背に手を回した。


吉田の仰向けになった身体に
和泉は上半身を乗せる。


「忘れる気は無いもん」

「そう」


和泉の答えに口元が緩む。


記憶は時が経つにつれて
薄れてしまう。


和泉の返事に嬉しいと
思ってしまう自分が居た。


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