君想歌

壁に背を預けて目を閉じていた
吉田の着物の袖を引っ張る。

「栄太郎」

「ちょ、上目遣い止めてよ」


吉田の前に立ち見上げる和泉に
顔に熱が集まるのが分かる。


「こっち。大部屋には行かせない」


吉田に手を引かれて来た道を
戻る。


だいぶ離れた部屋の襖を開け
吉田は和泉を部屋に入る。

吉田の胡座をかいた足の上に
座らせられ。


腰に腕を回されて押さえられ
逃げようにも逃れられ無い。


「向こうじゃ。
ゆっくり出来ない」


心の中で土方らに謝る。

任務は出来そうに無い。


「話もしたいし」


吉田は会議に出る気も
和泉の傍から離れる気も皆無。

でも好都合だ。

吉田に聞くことは山程、
和泉にはあった。

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