君想歌

人の出入りが増える前に
和泉は沖田の送りで島原に
再度足を踏み入れる。


「こんばん……ぎゃあ!!」

「和泉〜」


玄関先で後ろから飛び付かれ
挨拶が途中で切れる。


「とっ…栄太郎!!離せぇ」

「やだね」

ますます密着してくる栄太郎を
引きはがそうとする努力も
むなしい抵抗に終わる。



待て待て。

他人から見れば野郎同士で
抱きあってるみたいに……。

「うぎゃー!!離せ!!」

「あはは。面白い」

和泉の反応を見て楽しむ吉田は
一頻り笑うと腕を離した。



「ったく油断も隙もない」

呆れ気味に漏らした和泉は
ようやく店内に入る。


「だって和泉が居たんだもん」


満面の笑顔で答えた吉田に
もう何も言えない。


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