君想歌

後ろ姿が消えた路地裏へと
入り込む。


瞬間、腕を強く引かれる。

抗うことなく飛び込ん出来た
和泉を強く抱き締める。

「……見つけた」

覗いた血の滲んだ包帯に
力を緩めた。

黒い着物を着た彼は和泉を
抱き締めて小さく呟いた。

「無事で良かった」


笠を被って人目につかないよう
行動している吉田。

いよいよ京に居る吉田の立場は
悪くなってきたらしい。


「情けないね。
俺の方が我慢できなかったよ」

するりと腰に回った腕に
和泉は顔を上げる。

透き通るような吉田の瞳には
不安が滲んでいる。

「和泉が倒れたって聞いて。
気が狂いそうだった」



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