君想歌

沖田は机を埋め尽くす程に
並んだ甘味を前に目を輝かす。

「いただきます!!」

「急ぐと喉に詰まるよ」

冷茶を飲みながら和泉は
母親のような事を言う。


「大丈夫れふ」

口の端に団子のタレを付けて
答えた子供みたいな彼を誰が
新撰組だと思うだろうか。


沖田の腹の中に消えていく
甘味を見ていた和泉。

だがそれも飽きて風で揺れる
暖簾から見える通りを眺める。

「和泉?」

「ん?」


間延びした声で呼ばれて
沖田の方に意識を配る。


「長州で有名な過激派攘夷志士が
入京しているらしいです。
気を付けて下さいよ」


さらりと言った沖田は甘味を
食べるのを再開する。


動揺を気取られないように
お茶を飲み干した。


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