君想歌

前を歩く明里の頭に付けられた
簪(カンザシ)が揺れる。


「うちの部屋やけど」

客を相手にする前に彼女たちが
身支度をする部屋に通される。
「座って」

「あ、お邪魔します」


差し出された座布団の上に
和泉が座ると明里は話し出す。


「山南さん意地悪なんや。
和泉ちゃん連れてきてって
前々から言うとったのに」


明里は和泉の話を山南から
良く聞いていたらしい。


「何でですか」


「敬語は無しな?
うち和泉ちゃんと楽しい話
一杯したいんや」


廓言葉が抜けて京訛りで
明里は話をする。


「歳、同じくらいだから
和泉でいいよ」


「なら、うちは明里呼んでな」


会ってからあっという間に、
二人は打ち解けた。


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