君想歌

「では行きましょうか」

ペロリと指についた餡子を
舐めると和泉に微笑む。

山南が羽織を取りに行くのを
和泉の準備が整うと待つと
屯所を揃って抜け出した。


「なんで刀差してるんですか」


隣を歩く沖田は和泉の腰を見て
不満そうにしている。


「懐刀、刃が欠けたままだから」

代わりに長さが短い方の刀を
腰に差している。


「早く鍛冶屋に出さないと。
まぁ最近、忙しかったですから
時間がありませんよね」

多忙で時間が作れないのは
沖田も承知済み。

「分かってる……。
この機会に新しいの買っても
良いかなって。
刀見て気に入るのが無かったら
その時に出すよ」


給料は溜まる一方。

使うと言っても外出する際。

しかも吉田と出掛ける時は
彼が全て出してくれる。


懐刀を買ったくらいで財布が
寂しくなるわけでは無いのだ。


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