君想歌

「悪い意味ではありませんよ。
むしろ……」


――本当に和泉さんを大切に
思っているんでしょう。


「やはり会ってから聞きなさい。
その方は和泉さんに伝えるのを
楽しみにしているでしょうから」

山南の意味深な答え方に
和泉は益々会いたくなる。


中々会えなくなったことに
自然と和泉の表情が陰る。


そんな和泉の気持ちを山南は
読み取り言った。

「明里に私も滅多に会えません。
会いたいと双方が望んでも」


山南の恋仲でもある明里さん。

彼女は島原の遊女である。


会いたくても会えない。

そんな時もあるはずだ。


「会えない時が長く。
それを乗り越えた時の嬉しさは
計り知れないですよ」


語り続ける山南の言葉に
耳を傾ける。


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