君想歌

「間違っていたらすまぬ。
瀬戸が懇意にする男は……」


――吉田稔麿か?


斎藤は和泉の目を真っ直ぐに
射抜いていた。


斎藤相手に隠し通せるわけが
あるまい。


ほんの少し迷った挙げ句。


「うん。そうだよ。
どこで知ったの?」


肯定した。


「情報網は広いつもりだ。
他言はしない。ただ……」

質問の答えを濁して斎藤は
言葉を切り一呼吸を置いた。


「新撰組を裏切らぬならそれで
良いだろう。
きちんと寝ておかねば総司が
うるさいぞ」


和泉の手の中にあった血で
汚れた着物と救急箱を持ち
斎藤は立ち上がった。


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