君想歌

襖に手を掛けて据わった目で
吉田は二人に視線を送っていた。


「あ、聞かれましたか?」

稔麿の良い情報を悠のおかげで
聞くことが出来ました、と桂は
不敵に笑う。


「だから話したくないんだけど」

少々呆れた様子を表情に出し
吉田は部屋に入ってくる。


「この話は終わりにしましょう。
稔麿が此所に来た目的は?」


「分かってるなら聞かないでよ」

桂に返すと吉田は悠に訊ねた。


「和泉は?」

「大丈夫ですよ。桂さんの忍が
屯所に持っていきました」


桂の視線を避けるように吉田は
悠だけに問う。


ほっとした表情になったのは
彼とて気付いていないだろう。


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