君想歌

桂の部屋につくが襖を開ける
必要は悠には無かった。


既に開いた襖から桂が足音を
聞き付けたのか満面の笑みで
此方を見ていた。




「稔麿には文を送ったばかりと
いうのに。
全く……」


薬を悠が渡すと桂の隣に控えた
忍が受け取った。


すぐに消えた忍を横目に
悠は立ち上がる。


「ありがとうございます」


頭を下げた悠が部屋を出るのを
桂は引き止めた。


「悠、少し良いですか?」


桂はきちんと座り直して
悠と向かい合わせになった。


「?」


一呼吸を置いて桂は話し出す。


「稔麿は和泉さんの件で
気に病んでませんでしたか?」


心配そうに言った桂は
眉を下げた。


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