君想歌

「そうか。稔麿は宿だよな?」

悠に訊ねた高杉は刀を腰に差し
肩に羽織を掛けていた。


「そうですよ」

今から吉田に会いに行くつもりの高杉は出掛ける準備万端だ。

悠の答えに高杉は頷く。


「久坂は部屋に居たぜ?
じゃあな」


手を振った高杉は悠と別れた。

もう久坂の部屋は目の前だった。


「久坂さん、入ります」


一声掛けてから悠は襖を引いた。


正座をした久坂の指には既に
正方形の薬包紙が挟まれていた。


「そろそろ来ると思ってましたよ」


馴れた手付きで久坂は薬包紙に
小鉢に入った粉末を移す。


数分で済ませると悠の手に
それを乗せ紙を手渡した。


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