君想歌

かしかしと土方の膝が軽く
引っ掻かれる。


沈黙が満ちたままだった部屋に
知らぬまに滑り込んだセン。


土方が目を移せばセンは足を
揃えて彼を見上げる。


「あ?なにくわえてんだ?」

若干よれている文を土方は
センの口から抜き出す。


裏の宛名は和泉が怪我をした際
わざわざ屯所まで伝えに来た男。


文を開けば薬包紙が幾つか
畳に落ちる。


――解毒剤です。


短い言葉で書かれた文章。


センを見れば仕事は終えたと
和泉の枕元で丸くなる。


「あ、でもどうやって飲ます?」

あれから目を覚まさない和泉に
どう飲ますと言うのだ。


包みを持ち自然と山野と
目を合わせた土方。


.