*吉田稔麿*
和泉が俺から目を離して
水面を見つめる。
月が雲で隠れているせいで
辺りはそう遠くまで見通せない。
俺が真実を言っていく度。
やりきれない感情を和泉は
押さえているのだろう。
俺の左手に重ねられた手が
するりと離れる。
「無かったら良いのにね」
手を後ろに回して歩く和泉は
ふと呟いた。
「だってさ。
もしこの時代じゃなかったら。
稔麿と上手くいってただろうし」
私が、もし。
「町娘なら、良かった?」
表情は見えないけど。
切なそうに笑ってるのが
目に見える。
「和泉は和泉のままで良い」
彼女の後ろに立って抱きしめた。
直感的に。
本当に最後かもしれない、
なんて縁起でも無いことを思う。
自分から祇園祭の約束を
持ち掛けたくせに。
無責任だ。
*
.
和泉が俺から目を離して
水面を見つめる。
月が雲で隠れているせいで
辺りはそう遠くまで見通せない。
俺が真実を言っていく度。
やりきれない感情を和泉は
押さえているのだろう。
俺の左手に重ねられた手が
するりと離れる。
「無かったら良いのにね」
手を後ろに回して歩く和泉は
ふと呟いた。
「だってさ。
もしこの時代じゃなかったら。
稔麿と上手くいってただろうし」
私が、もし。
「町娘なら、良かった?」
表情は見えないけど。
切なそうに笑ってるのが
目に見える。
「和泉は和泉のままで良い」
彼女の後ろに立って抱きしめた。
直感的に。
本当に最後かもしれない、
なんて縁起でも無いことを思う。
自分から祇園祭の約束を
持ち掛けたくせに。
無責任だ。
*
.

