君想歌

「これでセンだとよ」

ぽいっと木の枝を放ると
また猫じゃらしで遊び始める。

見覚えのある漢字だ。

……稔麿らしい。


地面に書かれた字を見て
和泉の考えは、まとまった。


あの時。

自分の意思で決めたんだ。

今更、変えはしない。


「……ありがと」


くしゃっと柔らかい毛並みを
撫でればペロリと舐められる。

「何ぃ!?セン俺も舐めろ!!
って痛ぇっ!!」


ガブリと人差し指を噛まれ
悶絶する男。


セン、という稔麿の飼い猫の
名前を知っている彼。

長州の人なんだろう。

「セン、もう用事があるから
帰るから。
ちゃんと稔麿の所、戻ってね」


頭を一撫ですると男に笑い掛け
和泉は走り去った。


「っけ。お見通しか?」

センを肩に乗せた男、高杉は
笑みを浮かべて立ち上がった。


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