君想歌

右へ左へ走り回る元気な猫に
和泉の手も負けずに動いた。


「何してんだお前?
楽しそうだな。俺も交ぜろっ」

一方的な声に後ろを振り返る。

猫で遊ぶ和泉の背後には
髪の短い男が立っている。


派手な羽織を肩に引っ掛けて
いるのはお洒落なのか。

「交ぜろ!!」

どこか見たことのある顔だが
記憶には残っていない。


気迫に圧され猫じゃらしを
差し出せば和泉より上手く扱う。


子供っぽさの残る横顔を
和泉が見つめる。


「なんだ?俺に惚れたか」

「惚れません。
生憎、先客が居ます」

素っ気なく返され男は
豪快に笑った。


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