君想歌

だが職業柄、顔を見せられない。


「ま、いっか……。
最近、和泉は元気?」

諦めたらしく吉田は刀も取らず
畳に寝転がり天井裏を見つめる。


吉田が一方的に話しているが
きちんと聞き耳はたてている。

「それと和泉は間者でも無いし
怪しくもない。
だから和泉を疑わないで?」


そう言ってクスリと笑うと
吉田は手を握りしめる。


「居場所、無くしてあげないで?」


驚いた。

新撰組である和泉を利用して
情報を手に入れんとしていると
思ったのだが。


全くの逆だ。

殺ろうと思えば殺れるはずの
山崎を前にしても刀を抜きも
しない。


一体……?


「和泉に明日の夜、会いたい。
そう伝えて」


吉田は山崎に伝言を預けると
退屈そうに欠伸をして行灯を
吹き消した。



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