君想歌

土方により京市中の
長州浪士の滞在する宿屋を
偵察に行くように命じられ――。




「ここもかいな?」

少しばかり疲れた表情で
紙に記してある宿屋へと
潜入した。

運が良いのか滞在客は一人。

天井裏の板を少しずらして
中の様子を覗く。


中に居た男は和泉が一緒に
歩いていた男。

書物を肘を付いて捲る男に
冷や汗が流れた。


まさか姉ちゃんが間者?


頭を縁起でもない考えが
過った。


「降りてきてくれない?
俺、見られるのって嫌いなんだ」

完全にその言葉は天井裏に
身を潜める山崎へと
向けられている。


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