君想歌

吉田が倒幕派となった理由。

恐らくそれは松陰という
存在だろう。


どれだけ吉田松陰という存在が
大きかったのか。


それは和泉には計り知れない。


けど。
一つだけ思う事があった。


「稔麿は松陰先生が恨んでると
思ってる?」

「……なんで」


恨まない人なんて居るの?と
返す吉田の目を見て言った。


「助けなかった稔麿を恨む程、
彼が器の小さな人間とは私は
思えない」


話を聞く限りでは到底そんな
考えをする人間ではない。


吉田が松陰と縁を切る辛さを
良く分かっていた筈だ。


「でも……」

長く吉田の心の中に
染み付いてしまった思い込み。
それは彼自身を苦しめてきた。

和泉の言葉がイマイチ素直に
飲み込めず困惑した表情を
吉田は浮かべる。


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