君想歌

吉田は退屈そうに窓辺から
二人の様子を眺めている。


和泉は悠と別れを告げ旅籠に
戻った。



「遅い」


襖を開ければ開口一番
吉田は文句を言う。


時間的にそんなに長くは
経っていないはず。


吉田のことだ。

一秒でも彼の前から消えれば
散々文句を言われそうな
気がしてきた。


吉田の背中にくっつけば
顔が見えないと前に回される。

お腹に回された腕が動く度
くすぐったいが我慢しよう。


吉田が和泉を抱き抱えるのは
甘えたいからだろうか。


「子供みたいに和泉、温かい」


密着した場所から体温が伝わる。


十分に吉田だって温かいのに
私はもっと温かいらしい。


気持ち良さそうに目を細め
吉田は和泉を離そうとしない。

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