君想歌

結局。

旅籠に帰るまで吉田は
ひっつき虫になっていた。


旅籠の引き戸を開けて
部屋に上がる。


「げっ……」


先に部屋に入ろうとした吉田は
襖を閉める。


「何で閉めるんですかっ」


ばしーんと部屋の襖を開け放ち
中から現れたのは才原悠。


「たちの悪い幽霊かな、と」

「まだ死んでません!!」


毒を吐く吉田の後ろに立つ
和泉を見た悠はふっと柔らかく
笑ってみせた彼女に全てを悟る。


「全部話したんですね」

「これしか俺に道は無かったから」


和泉を引き寄せてみせた吉田に
イチャつくのは後にして下さい
と溜め息をつく。


さあ口付けでもする?と吉田は
口元に唇を近づける。


「あ〜!!もうっ!!
真剣にこっちは話を……」


甘い雰囲気を手で払い
和泉の手をそっと掴む。


「少し。話があります」


いつに無い悠の鋭い言葉に
和泉は軽く目を見張った。


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