君想歌

あまり外に出ていたら
吉田の身に危険が及ぶ。


どこか行く?と問い掛けた
吉田に首を左右に振り袖を引く。


「旅籠。戻ろう」

「……分かった。
和泉が言うならそうしよっか」

和泉の意図を読み取ったのか
旅籠へ戻る道につく。


静かな裏道を歩く吉田が急に
足を止める。


ぐいと強く身体を後ろに押され何があったのかと前を覗く。


「俺達の時間を邪魔するなんて。
ふざけてるね……」


幾度も巡察の最中に見てきた
柄の悪い連中の姿。


それに対しての苛つきを
吉田は隠そうともしない。


「ねー。俺達に何の用」


和泉が帯に手を差し込もうと
しているのを吉田に後ろ手で
制止される。


「俺達の時間を邪魔するようなら
只じゃおかない」


笑顔で吉田の右手は刀の柄に
軽く乗せられている。


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