君想歌

「そう言ってもらえると幸せ」

虚勢を張っているのが
嫌でも分かる吉田の表情に
上手く笑えているだろうか。


「でさ、二つめのお願い。
和泉を俺だけの女にしたい」


あ、お願いでもなんでもないや。

拒否権無いから、と
肩を押され布団に押し倒される。


めっきり男女事情に疎い和泉は
自分の上に乗っている吉田を
見上げていたが。

土方に意味が分からないまま
叩き込まれた事を思い出し、
横に置かれた吉田の手を握る。

「今だけ呼んだら駄目?
稔麿って」


一度も呼ばないまま
別れるなんて出来ない。


だから二人の時くらい、
呼んだって良いよね。



和泉の尋ねに答えないまま
吉田は深く口付けをする。

自然と重ね合わせた手の指が
絡み合う。


桜がひらりと舞う夜。

ようやく二人の影が
一つに重なった――。



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