君想歌

「だって好きな女は出来るし、
望んだ死に方は出来るし」


その時はっと気付く。

吉田の身体が微かに震えている。

怖くないはずが無い。

そっと吉田の背中に手を回し
抱きしめれば肩に額が乗る。


「ちょっとだけで良いや。
このままで居てよ」



涙を堪えるように和泉の身体を
抱きしめたまま離さない吉田に
身を貸したまま目を閉じた。


現実を受け入れなければ
ならない。


吉田が嘘をついた事なんて
一度たりとも無かった。


名前を偽っていたとしても
接する気持ちは本物だったから。

「栄太郎。
私なんかで良いなら……――」


この手で貴方の命を終わらすよ。




.