君想歌

手拭いを首に掛けたまま
部屋の扉を開ける。

隣に繋がる部屋の窓枠に
髪を下ろしたままの吉田は
右肘を置いている。

夜風に当たっていた吉田は
こっち来て、と手招きをする。

和泉の腕を引っ張ると
逃げられないように
吉田の腕に捕まる。

「俺さ。隠してた」


自分の顔が見えないように
和泉を強く抱きしめる。


少し痛いと思うも話を聞く為
大人しく耳を傾ける。


「俺さ……
本当は長州藩士なの。
吉田栄太郎は幼名。
本名は吉田稔麿」



聞いたことくらいある。


高杉晋作

久坂玄瑞

入江九一

吉田稔麿


彼らは長州の中心人物。




何を言うかなんて頭が真っ白で
分からないのに開きかけた口。


それが分かっていたように
そっと吉田が人差し指で
押さえた。


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