君想歌

警戒心を解いていた和泉は
聞き慣れた声に振り向いた。


「げっ……」

「どうしたの?」

吉田は後ろを向いた途端に
顔を歪めた和泉に尋ねた。


高い位置で束ねられた黒髪と
後ろ姿は副長として見飽きた
彼である。


左手に掴んでいるのは沖田。

その後ろを斎藤に担がれた藤堂。


完全に見られていたらしい。


「和泉。気づいてなかった?」


「う……。
ある人に女の格好をしてたら
警戒心も解いて良いと……」


監察の山崎が言い切ったのだ。
嘘はない。


「それで良いよ。
僕が守ってあげるから」


殺し文句を吐く吉田に
和泉の体温は上がる。


「ほら着くよ。
顔赤くしてないでさ」

何でも分かるよ、という風に
ニヤリと笑う吉田をせめてもの
攻撃としてベシリと叩いた。


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