君想歌

桜餅を頬張る吉田を見ながら
和泉も口を動かす。


意外に美味しい。

また買おう……。


うんうん、と一人頷く。


「でもさ。
桜が咲くのは何時になるか
分かんないよね」

ペロリと手に付いた餡子を
舐める仕草も様になる。


「遅くなるかもしれないし、
早くなるかもしれない」


和泉の髪を指で遊びながら
吉田は呟く。


確かに桜は気まぐれだ。

気まぐれで咲いたかと思えば、
すぐに散ってしまう。


「ま。俺は和泉と居られるなら
構わないけど。
桜が咲いてても散ってても」


顔を覗き込む吉田の口角が
何だか不気味に上がっている。


前に土方に言われたように
栄太郎に“食べられる”日が
近い内に来るのだろうか。


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