君想歌

山野の手を引っ張り足早に
和泉は歩く。


すっかり冷えた身体に何か
掛けてあげたいのだが。


生憎、羽織を着ていない。


「早く着替えて」


洗濯物を掴むと手拭いと
共に押し付ける。


火鉢に火をつけると和泉は
部屋から出て行った。


その足で副長室へ向かい
襖を開く。


「……声掛けろ。
着替え中だったらどうする気だ」

不機嫌そうな土方の声が
返ってくるが聞き流す。


「山野が他の隊士たちに
嫌がらせ受けた」


「何ぃ!?そんな不届き者は誰だ」

お前が気に入ってる奴に
手を出すなんて凄い根性だと
呆れ返った表情で土方は言う。