君想歌

恐る恐る山野は目を開く。


片手で殴ろうとした隊士の
腕を掴み上げ惜しげも無く
殺気を開放している人物に
開いた口が塞がらない。


「残念。
悪いけどウチの隊士には
手を出させない。
相当やってくれたね?」


言葉だけを見れば和泉の変化は
分からない。


ただ目を開ければ、はっきり
どれだけ怒っているかが
理解できる。


「山野は私が入隊当時から
教えてる大切な奴なんだけど?
それと副長直々に補佐役として
回るよう指示が出てる。
どういうことか分かります?」

冷ややかな目線と刀に掛かった
右手で怒りが知れる。




同意を求めるように睨みつけ
邪魔だとでも言うように隊士を
押しやり山野に手が伸ばされる。


「はい。遅くなってごめん」


手を重ねれば酷く温かく思えた。