君想歌

「………」

遠くに声が聞こえる。


「和泉ってば〜!!」


駄々っ子のように袖を引くのは
沖田である。


「もう。風邪引きますよ?」


口を尖らせている沖田は
和泉の顔を覗き込んでいる。


「寝てた」


机の上を見れば報告書は
書きかけのまま。


だが筆は硯に置かれているし
布団も掛けてある。


はて?

自分の記憶には無いから、
誰かがやってくれたらしい。


「寝てた、じゃありませんよ。
ちゃんと寝てないらしいじゃ
無いですか……」


「ご飯食べてたら生きていける」


些か的はずれな答えに沖田は
溜め息を吐く。


「とにかく。
報告書は頑張って僕が書きます。
だから和泉は寝てください。
また山野君に怒鳴られるのは
勘弁です」



沖田は思い出したのか
口をへの字に曲げた。