君想歌

案の定。


「桂小五郎を目の前に
取り逃がした、か……」


沖田は帰ってきて早々に
逃げ出した。


毎度お馴染みのように
和泉が報告せねばならない。


気乗りしないが仕方あるまい。

ここは開き直ってきちんと
報告すべきだ。


「桂は逃げの小五郎としても
有名だしな。
歩いてりゃ、また出会う
機会くれぇあんだろ」


ポリポリと爪楊枝で沢庵を
刺して口に運ぶ土方は大して
気にしていない様子である。


「それより……。山野!!
気色悪いから止めやがれっ」


土方は後ろを向くと
怒声をあげた。


ガタガタっと襖が音をたて
山野が隙間から顔を覗かせる。

あえて言わなかったが、
和泉が土方に報告をする為
部屋に入ってからずっと
引っ付いていた。