君想歌

連日の報告書作りで散らかった
文机を見てみぬふりをして、
引き出しを開ける。


あった。


父親が土産で買ってきた大福が
入っていた箱。


その綺麗な桜色の箱には
女の子らしい物が入れてある。

もちろんのことだが
栄太郎からの贈り物の
京紅は無くさないように
箱に入れている。


ごそごそと箱の中を探り
刺繍糸を畳に出す。


一本が細いが編めば耐久性は
心配無くなるだろう。


「……」


何色にしようかと手を止めて
いた考えていた和泉は箱の
底が少し浮いているのに気づく。


「ついに壊れた?」


よく見ると紙か何かが
挟まっているらしい。


畳に中の物を出すと
底から紙を引き抜いた。