君想歌

部屋の隅で羽織にくるまって
寝ている悠にちらりと吉田は
視線を送る。


「……あぁ…。
悠は和泉が姉貴だって
気づいてるんだよなぁ……」


ガシガシと頭を掻くと
高杉は畳に転がる。


吉田は困ったように眉を寄せる。



「ん……。
和泉に言う気は悠には無い。
そこに俺達が口出しする義理は
無いよ」


はい、この話題は終了。


そう手を叩くと吉田は
大きく欠伸をする。


「何だよ?
お前も寝んのか」


「明日、出掛けたい所が
あるんだよね?
だからおやすみ……」


稔麿と悠が寝て、
部屋には寝息だけが響く。


「ふわぁ……。
俺も寝るか」


デカイ子供二人を布団に
転がし、行灯を消した。