君想歌

「久坂さんっ。
俺に医術を教えてください!!」


フワリと犬のような癖っ毛が
勢いで揺れる。


「医術を?
また急に。良いですけど。
理由を聞く権利はありますよね」

有無を言わせぬ口調に、
うっと口ごもる。


「みっ皆さんのお手伝いが
出来たらなぁ……と」


恥ずかしそうに言う悠に
隣で吹き出した吉田。


「何で笑うんですか!?」


顔を赤くして反論する悠に
益々吉田の笑いが止まらない。

「お茶を引っくり返して、
洗濯物も干せない悠が
出来るのかな?なんて」


冷やかすように笑う吉田に
頭を抱える。


「い、ま、は!!
もう出来ます!!」


吉田たちと京に上り
藩邸に来た頃は悲惨であった。

茶はロクに淹れられず、
物干し棹には背が届かず
洗濯物は干せない。


その過去を掘り返す吉田に
頬を膨らます。