君想歌

乃美の言葉に桂は笑みを
浮かべる。


「稔麿にも懐いているぞ」


「悠が稔麿に?」


乃美は意外そうに目を丸くする。


吉田は藩邸内で取っ付きにくい
人間として上位にくる。


その吉田と悠が仲が良い理由は
分からない。


何らかの理由があったに
違いないが。


ちりりんっと風に吹かれて
軒下に吊るされた風鈴が
音を立てる。