君想歌

長州藩邸に住む少年。

名を瀬戸悠。


瀬戸家が情報屋をしていた時に
産まれた子供は二人。


姉の和泉と弟の悠、だ。



しかし。

瀬戸家が仕事から手を
引こうとしている。



その情報が藩主の耳に入り
悠を長州側が強引に奪った。


要するに人質としてだ。


生憎、乃美は殺傷は好まない。

だから乃美の遠縁、と称し
才原姓を名乗らせていた。


もちろん、
二人子供が居たという事実は
伏せて、だ。



「悠は高杉に懐いているようだな」


おもむろに口を開くと乃美は
襖に手を伸ばして冷たい茶を
喉に流しこむ。


こもった熱い空気が部屋に
風が吹き込んだことにより、
いくらかマシになる。