報告は和泉に任せっぱなし、
昼の巡察は真面目に出ない。

手のかかる沖田の抜けた部分を
補うため、和泉が隊長補佐に
抜擢された。


「今日は浪士二十三人と
斬り合いになりました。
うち、三人を捕縛。
奉行所に連れていきました。
では、これで」


頭を軽く下げて部屋を
後にしようとした和泉を
土方は呼び止めた。


「待て、座れ。
俺が疲れてるからって
早く出ていこうなんて
余計な気ぃ回すな」

図星をつく土方に困ったように
和泉の眉が下がる。

土方の前に再度座り直した。


「和泉、お前も女だ。
組にいる以上は仕事を
疎かにするのは許されねぇ。
だがな。
恋愛の一つや二つするなって
言ってるわけじゃねぇんだ」

「うっ?」

余り聞き慣れない土方の
優しい言葉に驚いたのもある。
しかし頭の中に浮かだ笑顔に
和泉の頬が染まった。


「隊務が無いときくらい
外に出て男探して来いや」

くくっと喉で笑う土方に
赤くなった顔のまま叫ぶ。

「余計なお世話ですっ!!」


立ち上がると乱暴に襖を閉め
部屋を荒々しく出ていった。