君想歌

「あれ?悠は?」

部屋で待っていた吉田は
すっかりくつろいで足を
伸ばしている。

高杉の後ろに悠の姿がない
ことを吉田は不思議に思う。


「んぁ?もう少しで来る」


誤魔化すような言い回しをした
高杉を深く探らずに目を反らす。


部屋の真ん中に置かれた火鉢の
上に湯気をたてる熱燗が三本。

吉田の部屋に入り、あまつさえ
勝手に酒まで用意するなんて。

まだ夕方だよ。


「あちちっ」


熱燗を素手で取ろうとして
慌てて手を放した馬鹿を見て
吉田は薄く笑う。


「やっぱり馬鹿だね。晋作は」


「あぁん?」


馬鹿にするような言い方をして
鼻で笑った吉田を高杉は睨む。


「ったく……。
ちったぁ感謝しろよ……」


ブツブツと不満げに呟く
高杉にくっくっと吉田は
肩を揺らす。



実際、桂の行き過ぎた行動を
抑えたのは高杉なのだ。