君想歌

消えることの無い痛みで
ぼんやりとした思考が
無理矢理引き戻される。


「かすっただけじゃ?」


確かに当たりはしたが、
寸での所で避けたはず。


「毒が塗ってあったんで
痛みを感じなかったんでしょう」

悠は足首に目を落としたまま
優しく答えた。


……情けない。


「仕方ありませんよ。
相手は忍だったんです。
これくらいの怪我と言ったら
何ですが、軽い方です。
ま。吉田さんは
気を失った貴女を見て
蒼白になってましたけどね」


ちらりと後ろを見れば栄太郎は
恥ずかしそうに顔を背ける。


「見ないでよ」


照れ隠しに、ぐっと和泉の
顔を手のひらで押した。