君想歌

丞くんの手に持たれた着物は
一見男物のように感じる。

だが控え目に裾に散らされた
小花から女物と分かる。

「あの、着付けくらいは
自分で出来ます……」

幼子のように着付けられ
顔を赤くし和泉は慌てる。

「黙っとり」


しかし何も気にしていない風の
山崎に伸ばしかけた手を止めた。


帯を馴れた手付きで結んでいく
山崎は後ろに回ると静かに
口を開く。


「なんでこないな事、
俺がしとるか不思議そうやな」

「当たり前でしょ?
土方に引きずられて部
屋に放られ。
丞くんに着付けられて」


少し疲れた表情で早口で言う
和泉に気まずそうに笑った。