君想歌

首元に顔を埋めているため
顔は見えない。


「約束、してよ?」

ふわりと頭を撫でられ、
和泉は頷いた。


「じゃ、寒いし。中入ろっか」


窓から旅籠の部屋内に入る
という泥棒紛いなことを
している自分たちに笑いを
漏らした。


「明日、一回屯所戻る」

「朝餉は食べて行くよね?」


窓を閉めながら栄太郎は
振り返る。


「うん」


ふわぁっと欠伸をした和泉に
栄太郎は行灯の光を吹き消した。