君想歌

「甘味屋で倒れたの
覚えてない?」


記憶が繋がったのか。

和泉は合点がいった
表情を浮かべた。


「……だるい」


「当たり前でしょ。
何で無理したわけ?」


栄太郎の視線がキツくなる。

無理して会う必要ないよ、と
咎めれば。


「だって栄太郎に会いたかった」


拗ねたように和泉は吉田を見る。


「そしたら。
朝から熱があった事を
忘れてました」


栄太郎は呆れたように
溜め息を吐く。



俺に会いたいが為に
熱があるのを忘れてた
…………ってこと?