12月の普通の日《短編》



「あつ・・・し・・・?」


「突然引越すとか親に言われて、オレどうしたらいいかわかんなかった。」


敦が苦しそうに言う。


「オレには学校だってあるし、琴音だっている。
それなのに、全部お別れしなくちゃいけねぇんだぜ?」


「・・・。」


「どうやったら琴音が一番悲しまないかな、なんて思いながら夜寝るんだ・・・。
あぁ苦しいなって初めて思ったよ。」


聞かされる真実に私はただただ涙することしかできなかった。


「オレは辛い別れを選んだ。
オレの事嫌いになってくれれば、琴音が悲しまないと思って・・・。」


敦の声は震えていた。


私は強く敦を抱きしめる。


一番つらかったのは、敦なんだ・・・。


けどね、敦・・・。


「・・・バカ。」


それは間違ってるよ。


「そんな別れ方しても・・・悲しいのは、変わらない・・・よ。
だから全部言って・・・欲しかった・・・。」


とぎれとぎれの私の言葉を敦はしっかりと聞いて聞いてくれている。


「けどね--・・・」


私は続ける。


「敦の・・・不器用な、優し、さが今分かって・・・。
すっごく、嬉しい・・・。」


「・・・琴音」


私は私の事を一番大事に想ってくれる人の事信じられなかったのかもしれない。


今思えば、敦が女作るなんてありえない話じゃんか。


全部全部、私への思いやり。


不器用な、優しさだったんだね。


「・・・敦っ・・・」


「ん?」


私は体を離し、敦の目をゆっくり捉える。


愛おしい彼に伝えよう。


世界で一番大好きな彼に伝えよう。