12月の普通の日《短編》



私は急いで玄関を開ける。


未だに霙は降り続いていて、吐き出す息も白かった。


私は家の前の道を歩いている敦を見つけると叫んだ。


「敦!!」


私の声に敦は立ち止った。


「バカァ!!!」


私の言葉に敦は驚いたようにこっちを振り返った。


月に照らし出されたその瞳にはうっすら涙が浮かんでいて。


「敦のバカァ!!
バカバカバカバカ!!!
なんでっ・・・
なんで黙って行こうとすんの!?」


私の顔は涙でぐちゃぐちゃだ、きっと。


それでも構わない。


今ここで引き下がったら敦が戻ってこないような気がして・・・。


「・・・聞いてたんだな。」


私は黙ってうなずく。


そして近づいてきた黒い影に私はふわりと抱きしめられる。


何年たっても変わらない敦の匂いにまた涙があふれ出した。


「うっうぅ・・・」


「泣くなって!」


笑いながら私の頭をガシガシと撫でる。


「ごめんな。
本当は言うはずだったんだけど、お前が悲しむと思って・・・。」


「言ってくれない方が悲しいよ!!!」


私は声を張り上げる。


すると敦は困ったように笑って


「オレの方が悲しいよ」


と言った。