私は急いで玄関を開ける。
未だに霙は降り続いていて、吐き出す息も白かった。
私は家の前の道を歩いている敦を見つけると叫んだ。
「敦!!」
私の声に敦は立ち止った。
「バカァ!!!」
私の言葉に敦は驚いたようにこっちを振り返った。
月に照らし出されたその瞳にはうっすら涙が浮かんでいて。
「敦のバカァ!!
バカバカバカバカ!!!
なんでっ・・・
なんで黙って行こうとすんの!?」
私の顔は涙でぐちゃぐちゃだ、きっと。
それでも構わない。
今ここで引き下がったら敦が戻ってこないような気がして・・・。
「・・・聞いてたんだな。」
私は黙ってうなずく。
そして近づいてきた黒い影に私はふわりと抱きしめられる。
何年たっても変わらない敦の匂いにまた涙があふれ出した。
「うっうぅ・・・」
「泣くなって!」
笑いながら私の頭をガシガシと撫でる。
「ごめんな。
本当は言うはずだったんだけど、お前が悲しむと思って・・・。」
「言ってくれない方が悲しいよ!!!」
私は声を張り上げる。
すると敦は困ったように笑って
「オレの方が悲しいよ」
と言った。

