12月の普通の日《短編》




「はぁ・・・」


お母さんのため息が聞こえた。


お母さん、理恵子さんと仲良かったもんね・・・。


しばらくたつと玄関が開いた音がした。


「あら、敦くん!」


「お!
優子さんこんばんわ!」


敦・・・。


胸がギュッと締め付けられる。


と同時に鼻の奥がツーンとした。


「敦くん本当に明日行っちゃうの?」


「うん。
オレもうあっちの大学行こうって思ってて」


はっきりと聞こえた敦の言葉に耐えていたものが一気にあふれだす。


それじゃあ、もう戻ってこないの?


なんで、戻ってこないの?


新しい女だっているんじゃないの?


「そっか。
なんで、あっちの大学行こうって思うの?」


手が震える。


嫌だ、聞きたくない・・・。


けど、知りたい・・・。