11月も終わり、今は12月中旬。

クリスマスブーム一色の中、まだ私たちにクリスマスはやってこない。

空はどんよりとしていて、今にも雪や雨が降ってきそうだった。




「・・・なぁ琴音、オレ達もう別れねぇ?」


突然に、唐突に聞こえた彼の言葉に思わず耳を疑う。


今、なんて・・・?


「なん・・・で・・・?」


私は繋いでいた敦の手を握る。


「・・・ごめん」


そして敦は私から手を離し俯いた。


「それじゃ、答えになってないじゃん・・・」


敦のぬくもりを失った左手から、今までの思い出までもが出ていくような気がした。


「・・・ごめん」


なんで謝るの?


「敦・・・」



「・・・ごめん」


さっきから謝るだけど敦に、沸々と湧き上がる感情。


その押さえ方を、私は知らない。


「意味わかんない!!
なんで!?どうして!?
ずっと一緒にいるって約束したじゃん!」


「・・・ごめん」


それでも彼は俯いたまま、また謝る。


「なんで?
なんで別れなくちゃいけないの?」


12月の寒さの中に私の声が消える。


「・・・」


私の質問に対し、敦は何も言わなかった。


これですべてがわかった気がした。


せめて何か言ってほしかった。


最後に、何か。